COVID-19感染患者を治療する
医療従事者向けの加温加湿について

COVID-19 情報 & リソース

Last Updated: 21 May 2020, 4:38PM (NZDT)

F&P Evaqua™ 2 回路での加温加湿によりクローズドシステムを実現します。 クローズドシステムでは、病原体を含む微粒子が医療環境においてエアロゾル化するリスクを削減し、医療従事者へのリスクを軽減します。

 

要約

  • 呼吸補助を必要とするすべてのCOVID-19感染患者はウイルス量が多いため、医療従事者への感染リスクが高まります。これは、特にエアロゾルまたは液滴が発生する手技や治療法で懸念されています。侵襲的換気を受けるCOVID-19感染患者の人工呼吸器回路を大気開放することで、病原体を含む微粒子が医療環境においてエアロゾル化するリスクが高まり、医療従事者にリスクをもたらします。そのため、適切な感染制御管理を行う必要があります。加温加湿器を使用すると、人工鼻(HME)によるパッシブ加湿と比較して必要な大気開放の数が減り、エアロゾルのリスクが軽減されます。
  • 加温加湿された水蒸気はクローズドシステムで生成されます。エアロゾル化した液滴は発生しません。水蒸気では、COVID-19などのウイルスまたは細菌微粒子を運搬できません。
     
  • 結露が大幅に軽減するよう設計された人工呼吸器回路(F&P Evaqua 2回路など)では、従来のヒーター回路と比較して大気開放の回数が減ります。また、COVID-19における環境への感染と医療従事者への感染リスクが軽減されます。
  • (COVID-19感染患者の抜管後)非侵襲的換気法(NIV)とネーザルハイフロー(NHF)両用の人工呼吸器用回路では、機器要件が簡素化され、複数の回路取り扱いによる感染リスクを軽減します。また、消耗品の消費を節約します。
     
  • 人工呼吸器を使用するCOVID-19感染患者は、解剖学的死腔量を最小にするなど、肺保護換気戦略が必要となります。加温加湿により肺保護換気が改善できるという臨床報告があるため、HMEより加温加湿の方が推奨されています。
    • PaCO2の低下 
    • プラトー圧の低下
    • 一回換気量の低下
    • 肺胞の換気量の上昇
       
  • 重症となったCOVID-19感染患者は、重度呼吸器疾患を患っているため分泌物への管理を補助し、効率的な換気とガス交換を促進し、最適な粘膜線毛運動機能を保持するため、高湿度を必要とします。

 

加温加湿は、水蒸気の発生により医療従事者の感染リスクを軽減します。

 

1.    加温加湿により回路の取り外しをする回数が減少し、相互汚染のリスクが軽減するため、クローズドシステムが促進されます。

 

加温加湿を使用することで、回路の取り外しの必要性が軽減します。回路の取り外しのたびに、COVID-19感染患者を治療する医療従事者への相互感染リスクが高まります。

  • 加温加湿により分泌物クリアランスを改善し、受動的加湿と比較して増粘した分泌物を減少させます。人工呼吸器回路を大気開放して増粘した分泌物を管理する回数が減少します。
  • フィルター付きのHMEは、分泌物が厚くなるとフィルターが湿ってしまうため(ろ過効率の低下)頻繁に交換する必要があります。そのため、回路を取り外さなければなりません。 
  • 水蒸気・湿度を素材に拡散させる加温加湿回路(F&P Evaqua 2回路)をテストした結果、ウイルスまた細菌の病原体は素材を透過または浸透できず、水蒸気のみが透過または浸透できることを確認しました。
  • 能動的加湿であろうと受動的加湿であろうと回路の取り外しは避けられません。能動的加湿により、医療従事者が回路を取り外す回数を減らし、クローズドシステムを促進し、相互汚染のリスクを軽減します。


2.    加温加湿によりウイルスまたは細菌を運搬できない水蒸気(エアロゾルではありません。)を[3] 生成します。

加温加湿器は、加湿チャンバー内で呼吸ガスを加温し水蒸気の分子を患者に供給します1-2。気化過程により水分子を空中に拡散します。拡散する水の分子性状や水蒸気分子の大きさ[1](~ 0.0001ミクロン)は小さいため細菌またはウイルスを運搬できません3。エアロゾル化された水滴ではこれらの病原体を運搬する可能性があるため、COVID-19に関する臨床ガイドラインにおいて、挿管、噴霧、気管支鏡検査などのエアロゾル発生手技に対する感染管理が推奨されています。 侵襲的換気用の加温加湿はエアロゾル化が発生しないため、COVID-19ガイドラインに[1]侵襲的換気を受ける患者に対してのエアロゾル発生の可能性がある手技として掲載されていません4
 

Water vapor molecules can not transport pathogens, which may cause infection, due to their respective size difference

 

3.    より新たな技術を採用した回路では、回路の壁が水蒸気が浸透できる材質であるため、結露を大幅に軽減させることができます。回路を取り外す回数を削減し、感染リスクを軽減させ、クローズドシステムを促進することができます。

より新たな技術を採用した回路では、回路の壁が水蒸気が浸透できる材質であるため、結露を大幅に軽減させることができます。F&P Evaqua 2回路のこの材質は、ウイルスまたは細菌の病原体が材質を透過または浸透できず、水蒸気のみが透過または浸透できるよう設計・試験されています。 F&P Evaqua 2 回路は、回路内でガスの冷却と結露を防ぐため、吸気アームは絶縁物質です。吸気の絶縁と呼気の水蒸気拡散により、従来の加温加湿回路と比較して結露が大幅に減少し、結露を空にするために大気開放の必要性が低減します。



4.    医療従事者は抜管後のNIVとNHFの患者に同じ侵襲的換気回路を使用できますので、感染した廃棄物の量を減らすことができます。

加温加湿器の使用により、侵襲的換気、非侵襲的換気とNHFの3つの治療に単一の回路を使用できるようになります。それぞれの治療で再使用することで、必要とする装置を簡素化し、複数の回路を必要とする患者を減らすことになります。例えば、デュアルア-ム型NIVを同じ回路で実施したり、呼気アームを取り外して単一アーム型NIVおよびNHF用の吸気アームを残すことができます。
 

人工呼吸器を使用するCOVID-19感染患者に対する加温加湿の利点

 

5.    重度の呼吸器疾患で重症になったCOVID-19感染患者は、分泌物を管理し、効率的な換気とガス交換を促進し、最適な粘膜線毛運動機能を確保するため、高湿度を必要とします。

気道は吸入空気を37°C、相対湿度100%(絶対湿度44mg/L)に加温加湿します5-7。低い温度と湿度での患者の侵襲的換気は、以下の悪影響を及ぼすことが報告されています:

  • 粘膜線毛運動系障害5,7
  • 気道乾燥8
  • ETT閉塞9-11
  • 粘度が高く吸引しにくい分泌物12
  • 人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発生率の上昇13

加温加湿器は患者に最適な温度と湿度(37°C、44mg/L)を供給することを目的としたものです。多くのHMEでは最大湿度32–33mg/Lに達し、30mg/L未満の供給となっています14。研究によると、HMEを使用することで患者に加温加湿器より大幅に低い湿度を供給し、[1]結果15分間にわずか10%低下した湿度を供給することによって粘膜線毛運動機能に大きな影響を与え得ることが報告されています7。 

 

6.    加温加湿により、解剖学的死腔量が増加することなく加湿できるという効果的な肺保護換気に不可欠な要件を満たします。

COVID-19感染患者には肺保護換気が必要となります。HMEと比較して、加温加湿により、二酸化炭素分圧(PaCO2)とプラトー圧(Pplat)を低減した状況でより低い一回換気量(VT)で患者に換気を行い、肺胞換気とガス交換を向上させることができます。この場合の患者は解剖学的死腔量が増加しない加湿を必要としており、加温加湿でのみ実現可能です。

肺保護換気は、死亡率に直接影響を与える可能性のある換気設定と関連手順の組み合わせです15-19。肺保護換気の重要な側面として、呼吸、ガス交換や肺胞換気の働きに重大な影響を及ぼす可能性のある、解剖学的死腔量を最小限に抑えます16, 20-25。幾つかの臨床ガイドラインにおいて、侵襲的換気を受けるCOVID-19感染患者またはARDSの基準を満たす患者に肺保護換気が推奨されています4, 26。 

  • 加温加湿器の使用では解剖学的死腔量が増加しない一方、HMEでは死腔量が最大100mL増加する可能性があります。幾つかの研究において、加温加湿器で死腔量を減らせばガス交換に大きな好影響を与え、死腔量の低減に比例してPaCO2が低減することが証明されています21-25。Prat et al.23は、加温加湿器を使用すればHMEと比較して他の設定を変更せず[5]PaCO2が80から63mmHgに低下することを証明しました。
  • Moran et al.22は、加温加湿器を使用すればHMEに比べて一回換気量(VT)を81mL、ピーク圧力(Ppeak)を7cmH2O、プラトー圧(Pplat)を4cmH2O低減できることを証明しました。


7.    加湿加湿は、離脱困難な患者の場合、HMEと比較してより効果的な離脱を可能にします。

COVID-19感染患者は、その疾患の性質、また急性呼吸切迫症候群(ARDS)の発症可能性が高いため、機械的換気の離脱が困難になる可能性が高くなります。HMEより加温加湿の方で死腔量および流動抵抗を減らし、最適な離脱を実現できます 20

Girault et al.20 は離脱が困難になる患者でHMEの使用と加温加湿を比較しました。HMEを使用する場合は、加温加湿グループに比べてHMEグループで圧補助を8 cmH2O上げる必要があることを認めました。研究では、この患者集団ではHMEを使用しないことが推奨されています。